NOJA Profile とは

人が描くコンテクストを観察する


NOJA Profile(ノージャッジ・プロファイル)とは

人が互いを理解し、気持ちを通わせることができるのは、同じ言葉を使っているからではありません。同じコンテクスト(状況の捉え方)を共有しているからです。

同じ「大丈夫」という一言でも、どんな状況をどう捉えているかが噛み合っていれば伝わり、ずれていれば伝わりません。私たちが理解し合えるかどうかは、言葉そのものではなく、その言葉の背景にあるコンテクストを分かち合えているかにかかっています。

このことに気づいたのは、物語からでした

映画やドラマは、状況を描くだけで、観ている人に同じ感情を抱かせます。私たちの関心や心配や期待を作っているのは、登場人物の台詞ではなく、その場面の状況の描写です。

さらに言えば、観る人の心を動かしているのは、描かれた状況を観る人自身がどう捉えるかと、そこにいる登場人物の捉え方との、ズレや一致です。同じ状況でも、登場人物が気づいていないことに観客が気づいていれば緊張が生まれ、捉え方が重なれば共感が生まれる。私たちは、言葉ではなく、コンテクストの捉え方をやり取りしている ── そう考えると、人と人とが分かり合えたりすれ違ったりする理由が、見えてきます。

言葉のなかに、捉え方は表れる

たとえば、こんなことがありました。

思考スタイルについて教えていたとき、受講生のひとりがこう言いました。「私は方向音痴なので、今日この会場に来るのにも道に迷って大変でした。この方向音痴というのは、どんなパターンなのでしょう」。私はすぐには答えられませんでした。「方向音痴」がどんな捉え方なのか、決めつけずに確かめてみることにしたのです。

その場にいた人たちに尋ねると、「自分は方向音痴だ」と思っている人と、「目的地まで迷わず行ける」と思っている人が、半分ずついました。そこでいくつか質問をしてみると、はっきりと答えが分かれた問いがありました。「正しい方向に進んでいることを、どうやって判断しますか」。

方向音痴だと思っている人たちは、「自分でわかります」と答えました。迷わず行けると思っている人たちは、「歩いている方向が正しいかは、地図を見ないとわかりません」と答えたのです。

自分の感覚を信じている人のほうが道に迷い、自分の感覚をあてにせず外を確かめる人のほうが、目的地にたどり着く。どちらが優れているわけでもありません。自分の感覚を信じる人は、確かめる手間がないぶん行動は速く、外を確かめる人は、確かめるぶん時間はかかるけれど目的地にたどり着く。活きる場面が違うだけです。そして「正しいと思っているかどうか」は、「行きたいところに行けるかどうか」とは別のことでした。状況をどう捉えているかは、その人の言葉のなかに、こんなふうに自然と表れます。

伝え方が変わり、ひとつの技法とつながった

このことに気づいてから、私は人に何かを伝えるときのやり方を変えました。何が正しいか、何が定義かを教えるのではなく、自分がどんな場面で何をしたのかを語るようにしたのです。すると、相手の理解が明らかに深まりました。定義を渡すよりも、状況を描いて渡すほうが、相手は自分でそこから意味を汲み取れる。

そしてあるとき、私がやっていたこのことが、以前から学んでいたコンテクスト・ペインティングという手法と同じものだと気づきました。相手の内面を決めつけず、その人が知覚している状況を、観察できる事実として一緒に描いていく。コンテクストを伝えるとはどういうことか、相手の意図を汲み取るには何をすればいいのか ── その答えが、ここでひとつにつながりました。

NOJA Profile は、この一連の気づきから生まれた

コンテクストとは何で、どう観察できるのか。この問いを追い続けるなかで、これまで別々に語られてきたいくつかの知見 ── 人が状況のどこに注意を向けるかという思考の傾向、学びや理解が進む段階、人が価値を置く対象の移り変わり、人が意思決定でたどる癖 ── が、ひとつの体系として結びつきました。

NOJA Profile(ノージャッジ・プロファイル)は、その体系から生まれた、コンテクストを観察するためのアセスメント体系です。人が物事を語るとき、その言葉には、その人がいまどんな状況をどう捉えているかが自然に表れます。NOJA Profile は、その言葉を観察することで、その人が描いているコンテクストを読み取ります。

NOJA Profile が観ているのは「その人がどんな人か」ではなく、「その人がいま、状況をどう捉えているか」です。人を決めつけるのではなく、いまこの場面での捉え方を映し出します。


経験を言葉にできることの価値

人と接する仕事をしていると、「この人はこういうふうに物事を見ているな」と感覚でわかることがあります。けれど、それを言葉にして、誰が見ても同じように説明し、具体的なサポートに変えようとすると、とたんに難しくなる。優れた人ほど、自分の見立てを「勘」や「経験」としてしか語れず、ほかの人に渡せません。これは、コーチ、コンサルタント、人材育成、マネジメント ── 人を扱うあらゆる現場に共通する課題です。

NOJA Profile は、この「見えているのに説明できない」を、観察にもとづいて言葉にするための道具です。感覚として捉えていた相手の捉え方を、共有でき、再現でき、サポートに変換できる形にします。勘や経験として一人の中に閉じていたものが、他の人に渡せるようになり、学べるようになります。


NOJA Profile の3つの姿勢

NOJA Profile の姿勢は、次の3つにまとめられます。

ジャッジしない(No Judgment)

NOJA Profile は、その人を良い・悪い、優れている・劣っているで判定しません。どの捉え方にも、活きる場面と活きにくい場面があるだけです。結果は「あなたはこういう人だ」という判定ではなく、「このコンテクストでは、こういう傾向が表れていた」という発見の材料として示されます。NOJA という名前は、この No Judgment Assessment Profile(ノージャッジ・アセスメント・プロファイル)に由来します。

量ではなく、現れたかどうかを観る

多くのアセスメントは、あてはまる程度を段階で答えてもらい、その高さ・低さを根拠に「強い・弱い」を判定します。NOJA Profile は、この発想をとりません。ある捉え方が言葉のなかに現れたか、言及されたかを観察します。たくさん語られたことが「強い」という意味にはなりません。語る量は、コンテクストを描く情報の多さであって、その人の性質の強さとは別のものだからです。

解釈は、人にゆだねる

NOJA Profile は観察結果を可視化しますが、「だからこうすべき」という指示はしません。観察された傾向をどう読み、どう活かすかは、訓練を受けたコンサルタントが、その人の状況に合わせて行います。ツールは発見を助ける道具であり、答えを出す機械ではありません。


何を手がかりに観察するのか

NOJA Profile は、用意された選択肢から本人に選んでもらう形をとりません。実際に書かれた言葉、話された言葉のパターンそのものを観察します。

本人が「自分はこうだ」と思っていることではなく、言葉のなかに自然に表れているものを手がかりにします。人は、状況を語るとき、自分でも気づかないうちに、どこに注意を向け、何を基準にし、何によって納得するかを言葉に残しています。NOJA Profile は、そこを読み取ります。

オンラインでの記述をもとにした観察に加えて、対面の場では、先に触れたコンテクスト・ペインティング ── 相手が知覚している状況を、観察できる事実として一緒に描いていく対話 ── を用いて、その人の捉え方をともに確かめていきます。


観察する思考スタイルの全体像

NOJA Profile は、コンテクストを読み取る手がかりとして、思考スタイルを観察します。思考スタイルとは、その人が状況を捉えるときに、どこに注意を向けやすいかの傾向です。それぞれのスタイルは「優劣」ではなく、注意の向きの違いを表します。

思考エンジン ── 思考と行動の土台をなす8スタイル

  • 率先行動型:状況を見極める前に、自分から動こうとする
  • 状況分析型:状況の仕組みを紐解いてから関わろうとする
  • 接近志向型:手に入れたい状態に向かおうとする
  • 回避志向型:避けたい事態を防ぐことに注意を向ける
  • 内部参照型:判断のよりどころを、自分の内に置く
  • 外部参照型:判断のよりどころを、自分の外に求める
  • 可能性探求型:決まったやり方にとらわれず、可能性を広げる
  • 順序遂行型:定まった順序に沿って、最後まで進めようとする

ルール ── 自分と相手の基準の置き方を表す4スタイル

  • 主導型:自分の基準を、相手にも当てはめようとする
  • 自律型:自分の基準は持ちつつ、相手には委ねる
  • 同調型:定まった基準に、自分を合わせようとする
  • 調和型:自分と相手、それぞれの基準の違いを認める

変化・相違対応 ── 変化や違いへの向き合い方を表す3スタイル

  • 維持志向型:変わらず保たれているものに、焦点を当てる
  • 改良志向型:これまでを踏まえて、少しずつ良くしていく
  • 刷新志向型:これまでと異なる、新しいものに焦点を当てる

仕事へのアプローチ ── 物事の捉え方・進め方を表す3スタイル

  • 抽象化思考型:物事を抽象化して、その成り立ちを捉える
  • 体系化思考型:物事を整理して、秩序立てようとする
  • 実用重視型:実際に役立つかどうかで、物事を捉える

社会的欲求 ── 意欲の源がどこにあるかを表す3スタイル

  • 影響力志向型:影響力を及ぼせることに、意欲の源がある
  • つながり志向型:人とのつながりに、意欲の源がある
  • 達成志向型:達成の実感によって、意欲が高まる

納得モード ── 何によって確信するかを表す4スタイル

  • 仮説検証型:観察されたわずかな証拠から、理論が成り立つかを見定める
  • 即断型:わずかな手がかりから、瞬時に確信する
  • 思考実験型:特定の原理原則や規範から導かれる論理的な一貫性を追求する
  • 再現立証型:すでに確立された方法で、細部まで繰返し照らし合わせて確認する

知覚チャンネル ── どの感覚を手がかりにするかを表す4スタイル

  • 視覚型:見て確かめられることを手がかりにする
  • 聴覚型:聞いて得られることを手がかりにする
  • 読解型:読んで得られることを手がかりにする
  • 体感覚型:実際に体験して得られることを手がかりにする

思考スタイルは、その人ではなくコンテクストを映す

思考スタイルは、その人に固定された性格ではありません。同じ人でも、仕事の場面と家庭の場面では、表れる思考スタイルが違います。つまり思考スタイルは、その人を表すのではなく、その人がいま、どんなコンテクストをどう捉えているかを映し出しているのです。

だから NOJA Profile の結果は、「あなたはこういう人だ」ではなく、「この状況を、あなたはこう捉えていた」という形で示されます。人を一つのタイプに固定するのではなく、状況ごとの捉え方の現れを、その都度観察します。

観察された捉え方を読み解くために、NOJA Profile は2つの枠組みを用います。

4つのフェーズ(学習・思考のサイクル)

  • 着想(WHY):なぜそれをするのか、動機や意味に向かう段階
  • 定義(WHAT):何をするのか、枠組みや概念を定める段階
  • 実践(HOW):どうやるのか、実際に手を動かす段階
  • 見極め(IF):それでよいのか、結果を確かめる段階

5つのコンテクスト思考

状況に対する向き合い方のパターンとして、次の5つを観察します。これらは、その人がどんな状況で力を発揮しやすいかを映し出します。

  • マイルール思考(力・自己表現):直感と行動力で道を切り拓く。自分のルールで動く環境で活性化する
  • ワンルール思考(秩序・組織貢献):ルールと手順を重視し、安定と秩序を維持する環境で活性化する
  • イノベーション思考(達成・効率):目標達成と効率を追求し、自律的に成果を出す環境で活性化する
  • ダイバーシティ思考(共同体・調和):多様な視点を尊重し、合意形成と心理的安全を重視する環境で活性化する
  • インテグレーション思考(統合・システム思考):全体最適とパラドックスの許容。メタ認知的に状況を捉える環境で活性化する

理論的な背景

NOJA Profile は、「コンテクストとは何か」という問いを追究するなかで、いくつかの知見をひとつの体系として統合しています。

学びや理解が進む段階を整理した 4MAT の学習サイクル、人や組織が価値を置く対象の移り変わりを描いた クレア・グレイブスの価値システム理論(スパイラルダイナミクス)、人が意思決定でたどる傾向を明らかにした 行動経済学 ── これらは、観察されたコンテクストを読み解くための観点として用いられています。

これらの理論は、NOJA Profile の起源ではなく、起源にある「コンテクストを観る」という着想を整理し、共有できる形にするための道具です。


NOJA Profile を体験する

NOJA Profile の考え方に触れる入口として、毎週の無料勉強会を開いています。コンテクストとは何か、自分や周りの人の捉え方をどう観察できるのかを、実例を通して知ることができます。

ご自身の思考スタイルを実際に見てみたい方には、体験診断と個別相談もご用意しています。


NOJA Profile は株式会社ヒューマンプロファイル研究所(代表・野澤茂樹)の研究・開発によるアセスメント体系です。